活動報告

2005年2月8日

多摩山地、五日市丘陵・秋留台地の里山保全を!

八王子市といえば東京に隣接するベッドタウン、そして緑の里山がまだ残されている台地や丘陵が連なり、東京に新鮮な空気と水を送り続けている地域である。しかし、ここが今危ないと聞いて、2月7日、急遽視察に出かけた。

問題は今から30年以上前にさかのぼる。当時、国策として山には杉と檜が植えられた。補助金がついていたのでどんどん植えられた。やがては理想的な建築用材になる筈であった。ところが海外から安価な木材が輸入されるようになって日本の林業は破産に追い込まれる。間伐に携わる人もめっきり減少した。手入れのゆきとどかない山が放置されるようになってこの杉林の悪影響が露呈、いや、国策として奨励した時から心ある専門家は解っていたのかも知れない。杉は、枝が厚く広く張り出し、地面への日照を奪ってしまう。だから杉の山は暗く寒いのだという。それに引き換え、雑木林は木漏れ日が明るく暖かい。杉の根は牛蒡のように垂直で横には張り巡らさないので、斜面で持ちこたえるのに弱い。杉ばかりの山の生態系も当然雑木林とは異なり、多くの動植物にとって住みにくい。雑木林に見られるような腐葉土もない。その上、杉の花は花粉症患者の大敵である。

私たちが訪ねたのは炭焼き三太郎こと尾崎正道さん。彼は、杉の木を伐り炭を焼く。そしてどんぐりや山栗の木を植え、山の住人であるいのししや、りす、うさぎなどに食物を提供する。現在、彼のアイデアで信託をつのり(1口1000円)、苗木一本600円+植苗料で、一般の人々の緑への貢献を実現している。

この尾崎さんは私たちを、秋留台に生まれ住む地質学者であり考古学者でもある樽良平先生のところへ案内して下さった。上に述べた杉の話に加えて、先生は水についても語られた。現在、秋川市内の湧水は、150箇所もある。この地下水は五日市町北伊奈から日の出町本宿にかけての五日市丘陵を源流とし、それに台地に降った雨が加わったものである。
こんこんと湧き出す清水は、縄文の時代から命の水として欠くことのできないものであった。しかしこの湧水にも危機が迫っている。水量が極端に減ってしまったのだ。杉は保水力に乏しく、大雨が降っても全部流れてしまう。

先生によれば、自然の丘陵があるように見えるけれど、自然ではない。生きものたちは、長い歴史の中で生み出され、維持されてきたかけがえのないもの。我々人間の利害で簡単に、これら生物の生きる環境をこわしてはならない。一度こわした生態系は元に戻らないことを今しっかりと知るべきである。

そこで、私たちに今出来ることは何か。少しずつでも杉を切り、どんぐりや栗やかえでを植えて、大切な里山を守ることであろう。東京の空気と水の源であるから、皆様にご協力をぜひ、ぜひお願いしたい。